モリブデン99 国産化へ予備試験着手
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- カテゴリ: モリブデン新聞
- 2013年2月06日に公開
- 作者: sarah
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がんや心臓病の診断に使用される核医学検査薬テクネチウムの原料となる放射性物質モリブデン99の国産化へ向け、日本原子力研究開発機構(原子力機構)は週明けにも、実用化をにらんだ予備試験に着手する。同機構開発の新技術で製造したモリブデン99をテクネチウムに転換、千葉県内の民間製造会社で成分検査して実用医薬品としての課題を探る。海外に頼っているモリブデン99の国産化は20年来の悲願とされ、2016年をめどとする目標の第1段階では国内消費量の25%を賄う計画だ。
モリブデン99の国産化は、原子力機構の材料試験炉JMTR(大洗町)で固形のモリブデン98に中性子を照射し、関連施設のホットラボでモリブデン99を抽出、さらにテクネチウムへと転換する構想。
予備試験では、京都大学の協力でモリブデン99を製造。ラボ機器の稼動性や実用性を検証し、テクネチウムを国内で唯一製造する千葉県内の民間会社で成分分析。既製医薬品との違いや医薬品としての課題を見つける。
次の段階では、この会社と大洗町に研究所を構えるラジオアイソトープ製造会社の2社とともに実証試験を実施し、その後の量産を目指す。
テクネチウムは放射能の半減期が6時間とごく短いため、人体に注入して全身のがんを発見する画像診断などに大きな効果を上げており、心臓病治療の血流測定薬品としても広く使われている。日本は米国に次ぐ消費大国で、テクネチウムでの検査を手術前に義務付けているがん専門医療機関もあるという。
一方、その原料となるモリブデン99は100%を海外に依存。半減期が66時間のため長期貯蔵できず、主にカナダ、オランダなどから成田空港に輸入して近くの民間会社でテクネチウムに転換して全国流通している。
両国の製造原子炉は稼働から30年以上経過。老朽化のためトラブルを起こすなどして輸入が不安定なことから、安定供給が望まれている。
国産医薬品としての実用化には安全性の実証や輸送体制の確保など依然ハードルは高いが、県科学技術振興課でも「原子力の未来を開く計画」と期待している。