二硫化モリブデンの使用形態(Ⅱ)

もう一つの二硫化モリブデンの使用形態はこれらの環境では極圧添加剤を含んだEPグリースも多用されていますが,実績として二硫化モリブデングリースが重宝されている理由は耐荷重性の発現の作用機構の違いにあるように考えます。固体潤滑剤は摩擦部分に膜を付加しており極圧添加剤のように部材表面から反応膜として進行することはない点と,固体潤滑剤は相手材を選ばないため,シリカに代表される粉じんの表面でも効果は期待できるためと考えられます。

また、二硫化モリブデンの固体潤滑剤の使用形態の次はオイルへの分散体で,エンジンオイル・ギヤーオイルに分散させ摩擦面導入・摩擦部分への付着性確保のための媒体として使用しているものです。繰り返しになりますがオイルであれば何でも良いという意味ではありません。

オイルの場合がグリースより複雑なのは,二硫化モリブデンを単純に油に添加すると比重差から簡単に沈降する点で,分散が確保されず目的のしゅう動部分まで到達できないことがあります。油中での分散方法・分散技術を確立することでオイル状の製品が開発可能となったわけですが,オイル中での分散と吸着の技術は各社とも秘密にしています。

二硫化モリブデン

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